社員食堂の限定ランチを食べたい!

半年前、アナタは大手IT企業に就職しました。学生時代からの憧れである企業に入れたアナタは喜びでいっぱいです。仕事内容の満足度も高いですが、何よりも福利厚生が素晴らしいです。トレーニングジム無料、家賃補助、豪華な保養施設と至れり尽くせり。なかでも無料で食べられる社員食堂のクオリティは国内有数と業界でも有名です。一流ホテルで元料理長だったシェフが監修したレシピは、メディアでも頻繁に取り上げられるほど。学生時代にインターンした際、アナタはそんな社員食堂に惚れ、「絶対にココで働いてやる!」と誓ったのでした。今日も昼休みが待ち遠しくて仕方がありません。

仕事に集中していても、12時の昼休みが近づくと視線が腕時計に……。11時59分になると、心のなかで「1、2、3、4」とカウントダウン。12時になった瞬間に離席、一目散に社員食堂を目指します。
アナタがここまで社員食堂に急ぎ向かう理由は、最近始まった限定ランチにあります。ナント!レシピを監修したシェフ自ら腕をふるったメニューが1日5食限定で提供されるのです。サーモンとホタテのチーズテリーヌ、合鴨のパイ包焼き、厚切りベーコンとアボカドのリゾットなど、魅惑のメニューが並びます。

しかし1日5食限定の壁は厚く、アナタはなかなかありつけることが出来ません。アナタが働く事業部は5階、社員食堂は30階とそもそも遠いのです。タッチの差で食べられなかった、なんてこともありましたが、ほとんどの場合、社員食堂に辿りついた時にはもう完売。28階の法務部の連中が限定ランチを美味しそうに頬張っているのを横目に、アナタは通常のメニューを選びます。

苦汁をなめる日々が続くなか、アナタは遂に決心します。「一度くらい昼休みを前倒ししても問題ないだろう」と。桃とシャインマスカットのタルトがデザートとして出される日を狙って、決行です。アナタは11時55分を回った時点でひっそりと部署を離れます。余裕を持って、11時59分ごろに食堂に到着。当然、誰もいないので一番乗りで限定ランチを食すことが出来ました。一度でも良い経験すると、やめられないものです。以後、11時55分に離席することがクセに。アナタは「12時55分から仕事を始めればいい」と勝手に昼休みの時間を変更し、限定ランチに舌鼓を打ちます。「あぁ満足!」今まで以上に充実した社会人生活を営むことが出来るようになりました。

昼休みを5分ずらしただけ、と安易に考えているアナタですが、これはコンプライアンス違反です。休憩時間は就業時間、給料、休日と同様に就業規則で定められています。バレてないからだいじょうぶ? いや、上司って部下の行動に目を光らせているものですよ。それに、就業規則に反する行為をしたアナタは、上司から注意を受けるどころか、懲戒処分を課されたとしても、文句は言えません。職場のルールはしっかり守ってください。食堂に近い階層の人だけが得をしており、いつまでも限定メニューが食べられないことに苛立ちを感じるのであれば、まずは冷静に、ルールに異を唱えてみるのも良いかもしれません。

教 訓

たかが5分、されど5分。就業時間中は業務に集中してください!