同期からの情報提供にもご用心!
アナタはウェブ系の制作会社に勤めています。新卒で入社し、早3年が経過しました。
後輩も増えてきたことから、若手枠もそろそろ卒業です。そんなアナタは仕事をしつつ、ふと入社直後に先輩から言われたアドバイスを思い出します。
「自分の企画が採用されて、一人前のディレクターだよ」
話を聞いた直後のアナタは、「いつか自然とチャンスが訪れるだろう」と楽観していました。しかし先月、同期のひとりが異例の早さでディレクターデビューを飾ったことでその考えが変わります。「アイツのケースは特別らしい……」とディレクターになれない自分に言い訳をしつつも、考えの甘さを噛み締めます。危機感を持てたことは素晴らしい、ただそれを活かせるかどうかは別ですが……。
月一回の定例会議でクライアントに提案する企画の社内選定が行われます。定例会議で企画が採用された人が担当者となります。そこから担当者はクライアントにプレゼンし、企画が採用され次第、ディレクターとなります。
アナタも会議のたびに渾身の企画を用意しますが、どうも通りません。ただ3年間、毎月企画を出し続ければ、さすがに採用されるための方法論もわかってきます。アナタにとって31回目の企画会議にて、ついに企画が採用されました。さらにクライアントへのプレゼンも成功し、新規事業として立ち上げるウェブメディアのプランニングを任されることになりました。以降、ディレクターとなったアナタは企画を具体化するため、忙しい日々を送ります。コンセプトの練り上げ、ウェブデザイン、記事の制作、SEO対策など、各所に仕事を振りつつ、まとめていきます。
3ヶ月後、やっとプロトタイプが完成しました。全てのウェブページにアクセスし、問題ないかをチェックします。バグもなく、正常に動くことに一安心。しかし触れば触るほど、どこか物足りなさを感じてしまうことも否めません。その物足りなさの原因を言語化し、指摘できれば良いのですが、経験不足からどうも言葉にできないのです。「う〜ん、どうしよう……」と頭を抱えていると、別の部署の同期が声をかけてきました。アナタが悩みを打ち明けると、同期は過去に同様の悩みを持ったことがあると言います。「難しい問題だよな」と同期がつぶやき2人の沈黙が5分ほど続いた後、同期が「あっ!」と声を上げました。「前にオレ、コレと似たウェブメディア作ったことあって。そのサイトをリニューアルしたとき、読者にアンケートを取ったんだよ。そのときの連絡先を保存してあるから、こっそりアンケート依頼送ってみれば」と提案してきました。アナタは「関係ないアンケート依頼を送るのはさすがにヤバいんじゃ……」と躊躇しますが、同期は「けどそんなこと、ディレクターになれば大なり小なりやってるよ」と悪気もない様子。そのあっけらかんとした態度に呑まれてしまったアナタは、同期に読者の氏名やメールアドレスの個人情報が記載されたファイルの手配を依頼します。
個人情報は、取得する際に必ず目的を明示して同意を得る必要があり、その目的外の利用はできません。そのため、同じ会社内だからといって、利用目的を確認せずに個人情報を渡したり、利用したりしてしまうのは厳禁です。必ず、取得時の利用目的を確認し、目的外の利用にならないようにしてください。
チャンスを掴むために人の助けを得るのは悪いことではありませんが、不正な手段は許されません。
教 訓
個人情報の目的外利用はダメ!利用目的の範囲内でのみ活用しましょう。